売り先が決まってから、運用が始まるファンド
KAFの4号ファンド(福岡市博多区祇園町)は、対象不動産について売買契約を締結した状態で組成されることが公表されています。 売却の相手方と時期があらかじめ定まった状態から運用を開始する、 いわゆるEXITファンド(出口確定型)です。
一般に、不動産を対象とするファンドは、運用を始めてから売却先を探すことが 少なくありません。売却の時期と価格が読みにくいため、運用期間は長めに 設定される傾向があります。本ファンドは、その順序が逆になっています。
募集条件・物件・エリアの一次情報は、KAFのファンド詳細ページに すべて公表されています。この記事はその繰り返しではなく、詳細ページだけでは 見えにくいものを扱います。申込から償還までの時間割、年8.0%という数字の 実際の読み方、シリーズ3本の中でのこのファンドの位置づけ、そして祇園町の データを一歩深掘りした年次推移。検討の材料を、詳細ページの「外側」から補います。
公表されている募集条件
まず、KAFの商品ページで公表されている募集条件を確認します。 いずれも2026年8月時点の公表内容であり、詳細と最新の情報は 募集ページおよび契約締結前交付書面で確認する必要があります。
Fund Terms
KAF4号【福岡市・祇園】の募集条件(公表値)
- 対象物件
- 福岡市博多区祇園町のビル・駐車場(土地・建物一棟/669.47平方メートル)
- 契約形態
- 匿名組合型(KAF4号匿名組合)
- 想定利回り
- 年8.0%(税引前・年換算。実際の運用日数に応じた日割計算)
- 運用期間
- 約4ヶ月(組合組成日 2026年10月1日〜組合終了日 2027年1月31日を予定)
- 募集金額
- 1億5,400万円
- 申込単位
- 1口10万円(申込は上限500口まで)
- 募集期間
- 2026年9月1日〜9月24日(抽選制)
- 優先劣後構造
- あり(優先出資70%・劣後出資30%)
- ローン活用
- あり
- 途中換金
- 事業者買取・第三者譲渡・相続・贈与を常時申し出可能(申し出集中時は受付・承諾が留保される場合あり。事務手数料は譲渡金額の3.0%税別が上限)
※ 2026年8月時点の公表内容です。想定利回りは運用実績を保証するものではなく、元本が保証された商品ではありません。
※ 別タブで本体サイトが開きます。募集開始前はページが表示されない場合があります。
申込から償還まで:お金の時間割
ファンド詳細ページでは、募集期間・組成日・分配金支払日・償還日が 別々の表に記載されています。これを一本の時間軸に並べ直すと、資金がいつ動き、いつ戻るのかの全体像が見えてきます。
Schedule
申込から償還までの時間割(公表値から整理)
2026年9月1日
募集開始
抽選制。募集期間中の申込であれば先着順ではない
2026年9月24日
募集締切
締切後に抽選。当選者は期日までに契約締結・出資金払込
2026年10月1日
組合組成・運用開始
ここから約4ヶ月の運用。分配は実際の運用日数の日割計算
2027年1月31日
組合終了(予定)
引き渡しの時期により早期終了・延長の可能性あり
終了後2ヶ月以内
分配金支払
運用終了と同時ではない点に注意
2027年3月31日
出資金償還(予定)
申込(9月)から償還まで通算で約7ヶ月
※ 日付はKAFの商品ページで公表されている予定です。運用期間は約4ヶ月ですが、資金を実際に払い込んでから戻るまでの期間は、前後の手続き期間を含めて約6〜7ヶ月になる計算です。予定は変更される場合があります。
「運用期間 約4ヶ月」という表示だけを見ると短期に感じられますが、 申込から出資金の償還までは通算で約7ヶ月です。運用終了と分配金の支払・償還には 時間差がある——これは本ファンドに限らず、不動産クラウドファンディング全般に 共通する読み方です。次の資金予定がある方は、償還日を基準に考えることをおすすめします。
「年8.0%」の実際の読み方
想定利回り年8.0%は年換算の数値です。本ファンドの運用は約4ヶ月のため、 実際に受け取る分配のイメージは、次のように日割りで計算します。
Yield
「年8.0%」を約4ヶ月の運用で読む(計算例)
- 出資額の例
- 10万円(1口)
- 想定利回り
- 年8.0%(税引前・年換算)
- 運用日数
- 約123日(組合組成日〜組合終了日の予定から計算)
- 分配金の目安(税引前)
- 10万円 × 8.0% × 123日/365日 ≒ 約2,700円
- 源泉徴収後の手取り目安
- 約2,100円(源泉所得税20.42%控除後)
「年8.0%だから10万円で8,000円」ではなく、運用が約4ヶ月なら受け取りはその約3分の1になる—— これが年換算利回りの読み方です。
※ 計算方法を示すための例であり、分配金の額を約束するものではありません。実際の分配は運用日数・運用結果により変わり、元本が保証された商品でもありません。源泉所得税の税率はKAFの商品ページの記載(20.42%)に基づきます。
逆に言えば、約4ヶ月という短さは「資金の拘束が短い」ということでもあります。 年間の資金計画の中で複数のファンドを組み合わせる場合、 運用期間の短いファンドは資金の回転を考えやすいという性格があります。 短期ファンド特有の考え方は、次の記事で一般論として整理しています。
EXIT型の仕組み:出口から逆算する
本ファンドの特徴は、運用開始前に売買契約が締結されていることです。 通常の流れと比べると、順序の違いがはっきりします。
Structure
運用の流れの違い
一般的な流れ
売却の時期・価格が運用開始時点では未確定
本ファンド(EXIT型)
売却の相手方・時期が定まった状態で運用を開始
運用期間が約4ヶ月と短いのは、この順序によるものです。 売却先を探す期間が運用に含まれないため、出口までの見通しを 立てやすい設計になっています。
対象不動産:8筆の土地を、一つの用地へ
対象は、福岡市博多区祇園町にある約200坪の土地と、その上に建つ建物・駐車場です。 KAFの説明によると、この一帯の土地はもともと8つの筆(ふで)に 分かれていました。筆とは登記上の土地の単位です。博多の中心部にありながら、 一つひとつは小さく、単独ではその立地に見合った活用が難しい状態だったとされています。
都心部では、まとまった規模の土地そのものが希少です。 権利が細かく分かれた土地は、一等地にあっても大きな計画には使えません。 事業者はこの8筆を一つの用地にまとめ上げ、再開発に適した規模と形状を 備えた土地にしたうえで、次の担い手へ引き渡すと説明しています。
買い手がすでに決まっているという本ファンドの前提は、 こうした土地の集約を経て成立しているものです。 分かれていた土地を一つにまとめる作業には、地権者との交渉を含めて 時間と地縁が必要になります。福岡で40年以上不動産業を続けてきた 事業者の役割が見えやすい案件と言えます。
「筆」とは何か、なぜ都心の土地は細分化するのか、まとめる作業のどこが難しいのか—— 土地集約の基礎知識は、次の記事で一般論として解説しています。
エリアを公表データで確認する:祇園町という場所
対象不動産の所在地は福岡県福岡市博多区祇園町4-6。 博多駅から徒歩約8分、地下鉄空港線・祇園駅と七隈線・櫛田神社前駅から いずれも徒歩約4分、キャナルシティ博多まで徒歩約3分の位置にあります。 櫛田神社を中心とする博多旧市街の一角で、用途地域は商業地域です。
Access
対象地からの徒歩分数(公表値)
キャナルシティ博多
徒歩約3分
地下鉄空港線 祇園駅
徒歩約4分
地下鉄七隈線 櫛田神社前駅
徒歩約4分
JR博多駅
徒歩約8分
※ 徒歩分数はKAFの商品ページの公表値に基づきます。
地価の推移を「毎年の値」で見る
ファンド詳細ページでは、祇園町の標準地(博多5-21・祇園町355番1、商業地域)の 公示価格が令和3年の178万円から令和8年の322万円になったことが紹介されています。 この記事では、間の各年の値も並べてみます。単年の急騰ではなく、5年連続の上昇を積み重ねた結果であることが確認できます。
Land Price
祇園町の標準地(博多5-21)公示価格の年次推移(1平方メートルあたり・万円)
※ 福岡市「令和8年地価公示(福岡市分)各標準地点の価格推移」に基づきます。5年間の累計では約81%の上昇です(同期間の博多区商業地平均は約47%上昇)。公示地価の推移であり、対象不動産の価格を示すものではありません。
伸び率は令和4年の+18.0%をピークに、直近の令和8年は+7.7%へと緩やかになっています。 急騰の一巡後も上昇自体は続いている、というのがこの5年間の実際の姿です。 福岡市全体でも市内商業地の平均価格は前年比9.0%上昇で、平成25年から 14年連続の上昇となっています(いずれも令和8年地価公示・福岡市分)。 なお、これらは公示地価の推移であり、対象不動産の価格を直接示すものではありません。
福岡市全体の地価・人口・再開発の動きは、次の記事で公表資料からまとめて確認できます。
宿泊需要と、その「入口」のデータ
祇園町の用途地域は商業地域で、宿泊施設を含む多様な用途が想定できるエリアです。 福岡市のホテル・旅館の客室稼働率は80.6%(2025年)と2年連続で80%台、 福岡県の外国人延べ宿泊者数は前年比14.0%増と全国の伸びを上回っています。 ここまではファンド詳細ページでも紹介されている数字です。
この記事では、その宿泊需要を運んでくる「入口」のデータを補足します。 対象地の最寄り駅から地下鉄で直結する福岡空港の国際線旅客数は、 コロナ禍でほぼゼロまで落ち込んだ後、2023年度に過去最高を更新し、 2024年度は850万人と2年連続で記録を塗り替えました。
Airport
福岡空港 国際線旅客数の推移(万人)
※ 2016〜2023年度は福岡国際空港株式会社「福岡空港の利用実績推移」(出典:空港管理状況調書)、2024年度は同社「事業報告(2024年度)」に基づきます。1万人未満は四捨五入しています。
祇園町の最寄りである地下鉄空港線・祇園駅から福岡空港までは、 乗り換えなしで3駅の距離です。空港の国際線利用者の増加が博多エリアの 宿泊需要を支える、という構図が地下鉄一本でつながっています。 なお、祇園町が属する博多旧市街というエリアの性格は、次の記事で詳しく読み解いています。
二つの再開発区域の間という位置
福岡市では、天神地区の「天神ビッグバン」と博多駅周辺の「博多コネクティッド」という 二つの大規模再開発が並行して進んでいます。博多コネクティッドは博多駅から 半径約500メートル(約80ヘクタール)を対象に2019年1月に始動し、 容積率緩和(最大+50%)などを通じて2028年末までに約35棟の建替えが 予定されています。2026年3月末時点で30棟が竣工しました。
Redevelopment
二つの再開発区域と祇園町の位置関係(概念図)
天神ビッグバン
天神地区の再開発
祇園町(対象地)
二つの区域に隣接
博多コネクティッド
博多駅周辺の再開発
始動
2019年1月
対象範囲
博多駅から半径約500m
建替え
2028年末までに約35棟
※ 福岡市「博多コネクティッド」の公表内容に基づく概念図です。区域の広がりを正確に示すものではありません。
祇園町は、この博多駅周辺エリアと天神地区のちょうど間にあたり、 いずれの再開発区域にも隣接しています。都市機能の更新が進む二つの区域に 挟まれた位置にあることは、このエリアの土地を考えるうえで 参考になる条件の一つです。
天神ビッグバンの計画・進捗と周辺エリアへの影響は、次の記事で詳しく解説しています。
※ 別タブで本体サイトが開きます。募集開始前はページが表示されない場合があります。
シリーズの中でのKAF4号
ファンド詳細ページは当該ファンドの情報に絞られているため、 シリーズ全体の中での位置づけは見えません。 公式サイトで公表されているKAFのファンドを並べると、次のようになります。
Series
KAFシリーズの中でのKAF4号(公表ファンドの比較)
| ファンド | 対象 | 契約形態 | 想定利回り | 運用期間 | 募集金額 | 状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| KAF1号 | 福岡市・西新(西新中央マンション) | 任意組合型 | 年6.25% | 6年 | 2,100万円 | 運用終了(応募2,270万円・達成率108%) |
| KAF3号 | 福岡市・薬院(ティアラ薬院) | 匿名組合型 | 年10.0% | 1年 | 5,000万円 | 運用中(応募9,690万円・達成率193.7%) |
| KAF4号 | 福岡市・祇園(祇園町 ビル・駐車場) | 匿名組合型 | 年8.0% | 約4ヶ月 | 1億5,400万円 | 2026年9月1日 募集開始予定 |
※ KAF公式サイトの商品一覧・各商品ページで公表されている情報に基づきます(2026年8月時点)。想定利回りはいずれも税引前・年換算の想定値であり、実績や将来の成果を保証するものではありません。
並べてみると、KAF4号はシリーズで最も運用期間が短く、募集金額が最も大きいファンドであることが分かります。募集金額は2,100万円 → 5,000万円 → 1億5,400万円と 段階的に拡大してきました。また、6年の長期運用だった1号、1年運用の3号、 約4ヶ月のEXIT型である4号と、ファンドごとに性格が異なる点も特徴です。 1号は任意組合型で、匿名組合型の3号・4号とは契約形態も異なります。
現在運用中のKAF3号については、公表情報の読み方を次の記事で整理しています。 運用中のファンドで何が確認できるかは、4号を検討するうえでも参考になります。
出資前に確認したいこと
出口が決まっているという特徴は、リスクがないことを意味しません。 本ファンドを検討する場合に確認しておきたい前提を整理します。
想定利回りは約束ではない
想定利回り年8.0%(税引前)は運用実績を保証するものではなく、元本が保証された商品でもありません。分配は実際の運用日数に応じた日割計算であり、引き渡しの時期によって運用期間が早期終了または延長となる場合があります。
売買契約は「完了した取引」ではない
売買契約の締結は出口の前提が定まっていることを示しますが、決済と引き渡しが完了するまで取引は確定しません。KAFは、引き渡しが予定より遅れる見込みとなった場合には、判明している事実と見通しを出資者へ報告すると説明しています。
優先劣後70:30の読み方
損失が生じた場合は事業者の劣後出資30%から先に負担される設計です。ただしこれは計算上のクッションであり、劣後出資の範囲を超える損失は優先出資にも及びます。仕組みの詳細と限界は、優先劣後方式の解説記事で確認できます。
途中換金には条件がある
事業者買取・第三者譲渡は常時申し出が可能ですが、譲渡価格は参考評価額を基準とし、事務手数料(譲渡金額の3.0%税別が上限)がかかります。申し出が一時的に集中した場合には、受付・承諾が留保される可能性があると公表されています。

優先劣後方式の仕組みと限界については、次の記事で計算例とあわせて解説しています。
また、本ファンドの募集は抽選制です。先着制と違い、 募集期間中であればいつ申し込んでも条件は同じですが、当選後の契約・入金には期日があります。 抽選制ファンドの流れと落選時の考え方は、次の記事にまとめています。
まとめ
KAF4号は、売買契約を締結した状態で組成されるEXIT型のファンドです。 シリーズの中で最も運用期間が短く(約4ヶ月)、募集金額は最も大きい (1億5,400万円)という位置づけになります。
この記事では、ファンド詳細ページの情報に加えて、申込から償還までの時間割 (通算約7ヶ月)、年8.0%を日割りで読む計算例、祇園町標準地の毎年の地価推移、 福岡空港の国際線旅客数という「一歩外側」のデータを補いました。 伸び率が緩やかになりつつも上昇が続く地価、2年連続で過去最高を更新した 空港の国際線利用——エリアの数字は、方向としては追い風を示しています。
一方で、想定利回りは保証ではなく、引き渡しの完了までは取引が確定しない という前提も残ります。出口の確度、物件の前提、エリアのデータ、そして残るリスク。 これらを分けて確認することが、このファンドを読む出発点になります。 募集条件の詳細と最新の情報は、募集ページおよび契約締結前交付書面で 確認してください。
※ 別タブで本体サイトが開きます。募集開始前はページが表示されない場合があります。
Sources & References
出典・参考資料
- 九州・アジア・ファンディング(KAF)/「公式サイト(ファンド情報・運用実績の開示)」—公式ページ
- 福岡市/「令和8年地価公示(福岡市分)各標準地点の価格推移および区別平均価格及び対前年変動率」(令和8年(2026年)・価格時点は令和8年1月1日)—公式ページ
- 観光庁/「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値 確定値)」(2025年(令和7年)・2026年7月公表)—公式ページ
- 福岡市経済観光文化局/「福岡市の観光・MICE 2026年版」(2026年)—公式ページ
- 福岡国際空港株式会社/「福岡空港の利用実績推移(出典:空港管理状況調書)」(2016〜2023年度)—公式ページ
- 福岡国際空港株式会社/「事業報告(2024年4月1日〜2025年3月31日)」(2024年度・2025年6月公表)—公式ページ
- 福岡市/「博多コネクティッド」—公式ページ
- 国土交通省/「不動産特定共同事業法」—公式ページ
本記事のファンド募集条件・スケジュール(想定利回り・運用期間・募集金額・優先劣後比率・分配金支払日・出資金償還日・途中換金の条件等)およびシリーズ各ファンドの条件・募集結果は、九州・アジア・ファンディングの公式サイトおよび各商品ページで公表されている2026年8月時点の情報に基づきます。想定利回りは運用実績を保証するものではなく、元本が保証された商品ではありません。分配金の計算例は計算方法を示すためのものであり、金額を約束するものではありません。地価は福岡市「令和8年地価公示(福岡市分)」(価格時点:令和8年1月1日)、宿泊統計は観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値 確定値)」および福岡市経済観光文化局「福岡市の観光・MICE 2026年版」、空港旅客数は福岡国際空港株式会社の公表資料に基づく数値であり、いずれも対象不動産の価格や将来の運用成果を示すものではありません。出資の判断にあたっては、募集ページおよび契約締結前交付書面をご確認ください。



